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堺から古寺巡礼

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河内長野市 観心寺

 大阪から高野山へ向う高野街道は幾つかのルートに分岐しているが、それらが合流する場所が現在の河内長野市。大阪府の奥座敷のような風情のある宿場町といった雰囲気だが、実は大阪市内から急行に乗って30分程度で到着する。河内長野駅を降りて駅前から少し歩くと、昔ながらの町並みと風情が残る旧街道の辿り着く。実は近年になって熱心に整備された印象だが、少しずつ行楽客も増えつつあるのかも知れない。その駅前からバスに乗って閑静な住宅地を抜けて山間部に入ると古い集落があり、更にその先に観心寺がある。
 観心寺は、弘法大師が自ら刻んだと言い伝えられる国宝の如意輪観音像で有名だが、室町前期に作られた金堂は、大阪府下では数少ない国宝建造物としてもよく知られている。また全国的にも珍しい建造物である建掛塔も境内に残され、見ごたえのある名刹と呼べる境内のように思う。



 この大阪府と和歌山県の県境の山中にある観心寺は、楠木氏の菩提寺として伝えられ、楠木正成と南朝ゆかりの寺でもあった。建武の新政から南北朝に突入する室町時代初期の重要な歴史的舞台ではあるが、むしろその後の時代に時間を掛けて整備されてきた由緒ある名刹という印象を強く受ける。
 山門を入ると緩やかな石段が続き、山の中腹あたりに国宝の金堂が配置され、向って右側に建掛塔がある。この建掛塔は、楠正成の発願によって三重塔として建て始められたものの、湊川の戦いで戦死したことにより途中で未完のままとなったと伝えられている。建築上では雑塔と分類されるらしいが、むしろ三重塔の一層部分だけであっても、その規模の大きさが特徴的だろう。



 金堂に安置される如意輪観音像は、平安初期の仏教芸術の最高峰と称されるものの、秘仏として年に1回4月17〜18日の二日間のみ公開される。更に境内の梅林と紅葉が美しく、関西花の寺としても数えられている。丁寧に時間を掛けて整備された境内は、室町時代の歴史の舞台らしい風格を感じさせるが、恐らく関西周辺に住んでいる人以外ほとんど足を運ばないかも知れない。大阪から高野山に向う途中にある名刹なだけに、もう少し全国的に知られるようになって相応しいだけにやや寂しくも感じる。
 大阪を代表する古刹であり歴史の舞台でもあった観心寺と、大阪の奥座敷のような河内長野市、実は堺市からは決して遠いところではないし、高野山に向う途中の名所でもある。最近は歴史の教科書でも南北朝や応仁の乱の記述は省略気味になりつつあるようにも感じるが、建築や日本文化の発展過程で捉えるとかなり重要な時期に該当する。室町時代という歴史の転換期の舞台として、もう少し広く全国的に興味関心を募るような方法を考えても良い頃かも知れない。


石段の続く山門 国宝に指定される金堂 境内の建掛堂