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長谷寺 秋と春

 奈良の大和と伊勢を結ぶ初瀬街道の奈良側の始点に初瀬山があり、その中腹に長谷寺がある。源氏物語や枕草子、更級日記などの古典にしばしば登場するので、非常に良く知られた奈良県の古刹ではあるが、一般的には「花の御寺」としてよく知られてるかと思う。本堂に向う緩やかな階段状の登廊の両脇に、石垣で壇上に整備された牡丹の花壇が楽しめる春、もっとも多くの観光客が訪れるかと思うが、広い境内と懸造りの本堂の舞台からの眺望は、四季を通じて様々な景観を楽しむことが出来る。



 長谷寺の創建は、寺伝によれば天武朝の朱鳥元年(686年)に伝説的な僧侶である道明が初瀬山の西の丘に三重塔(多宝塔とも)を建立したのが始まりとされる。その後10世紀以降は観音霊場として平安貴族の信仰を集めて、前述のように古典文学に度々登場するのは周知の事だろうと思う。
 本堂は奈良時代の創建後、室町時代までに七回焼失したとされ、現在の本堂は一旦豊臣秀長の援助により再建されたが、その後徳川家光の寄進によって1650年に落慶したものとされる。初瀬山にある本堂から臨む風景は、門前町や街道を見下ろすというより、周辺の山々の新緑や紅葉を見下ろすようで、京都の清水寺や東大寺の二月堂とも違って独特な雰囲気がある。長谷寺は、牡丹や石楠花や紅葉を楽しむというより、季節の変化そのものを感じさせる寺だという印象が強い。



 ところで、山の斜面を活用した長谷寺の境内は、屋根のかかった登廊からの眺めるように用意されている。まずは階段を上りながら壇上の花壇の牡丹を楽しみ、本堂を参拝した後は反対側の五重塔がある境内を回って紅葉や石楠花を楽しむ事が出来る。行楽客にとっては花が咲く春と紅葉の秋こそ見どころになるが、実は本堂から眺められる季節によって変わる山々の表情の変化に重要な意味が込められているように感じる。
 奈良市街からも少し離れて、同じ初瀬街道沿いの室生寺と共に重要な観光コースに数えられてはいるが、長谷寺はなるべく機会を見つけて頻繁に参拝した方が良いように感じる。刻一刻と変化する自然の景観を眺めながら、その時々の多彩な趣向を感じ取る事が出来る山岳寺院のひとつだろうと思う。


登廊から眺める牡丹 本堂からの眺望 秋の五重塔