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堺から古寺巡礼

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浄瑠璃寺

 平安末期の古刹として知られる浄瑠璃寺は、所在する場所こそ京都府になるが、奈良市からの方が近く通常アクセスは奈良からバス等で移動する。実際、今でもかなり辺鄙な場所にあるため、観光客はわざわざ浄瑠璃寺に赴くために一日費やさなければならない。しかし、それだけの見ごたえのある古刹である事は確かだろう。
 浄瑠璃寺の建立は、永承2年(1047年)に義明上人により薬師如来を本尊とする本堂が建立されたものの、今日目にする浄土式庭園の伽藍はその後1107年(嘉承2年)に新たに建てられたものとされる。伽藍中央の池に向って丁度相対するように本堂と三重塔が並び、その周囲を緩やかな山に囲まれた景観は、決して少なくない人々により語り継がれてきたが、中でも和辻哲郎の「古寺巡礼」は多くの人に知られているかと思う。



 「さてこの山村の麦畑の間に立って、寺の小さい門や白い壁やその上からのぞいている松の木などの野趣に充ちた風情をながめた時に、わたくしはそれを前にも見たというような気持ちに襲われた。門をはいって最初に目についたのは、本堂と塔との間にある寂しい池の、水の色と葦あしの若芽の色とであったが、その奇妙に澄んだ、濃い、冷たい色の調子も、(それが今初めて気づいた珍しいものであったにもかかわらず)初めてだという気はしなかった。」(和辻哲郎「古寺巡礼」より六 浄瑠璃寺への道――浄瑠璃寺)

 当時、鄙びた山村の中に静かに佇む浄瑠璃寺の伽藍を訪れた際、奈良市内から相当時間を掛けて訪れた苦労がその文面からも読み取れるが、和辻はその自然と一体化した浄土式庭園に日本の原風景を感じ取ったのかも知れないし、あるいは里山の景観を連想したのかも知れない。

「古人の抱いた桃源の夢想・・・しかし考えてみると、われわれはみなかつては桃源に住んでいたのである。すなわちわれわれはかつて子供であった!」

 恐らく和辻が感銘を受けた浄瑠璃寺の伽藍は、今日でもほとんど姿は変わっていないかと思う。ただし、かつて鄙びた山村だった周辺は今では観光地として、あるいはベッドタウンとして洗練された少し賑やかな場所に変貌しつつあるように感じる。


浄瑠璃寺へ向う参道 池越しに見る本堂 本堂側から三重塔を眺める