南禅寺の歴史は鎌倉時代に遡るが、日本最初の勅願禅寺とされ、恐らく清水寺と共に京都でも屈指の観光スポットであるのは間違いがない。歌舞伎『楼門五三桐』では石川五右衛門の名台詞として登場する三門は、今でも京都市内を一望できる名所であり、御所を移築した大方丈と方丈前の枯山水庭園も含めて見どころが多いので、当然観光客は常に多い。もっとも最近は、琵琶湖疏水の水道橋(水路閣)がドラマだけでなくアニメにも登場するほど有名撮影スポットとなってしまって、観光客の流れが少し変わってきている。さて、その水道橋を越えて階段を上がった先に南禅寺の奥院に相当する南禅院がある。
この南禅院がかつて亀山上皇の離宮があった場所であり、弘安10年(1287年)に建立された際、南禅院と号したとされる。そういった経緯から、この決して大きくない別院が南禅寺の発祥地だとされている。南禅寺自体は東山というべきか山の麓にあって寧ろ岡崎の街を一望する少し小高い平地という印象だが、水道橋を越えて南禅院に入ると既に山中に入ったかのような自然の溢れた空間になり、様相が変わる。南禅院の見どころは、江戸時代に再建された方丈越しに眺める回遊式庭園だろうと思う。
秋の南禅寺三門 | 南禅院 方丈から庭を眺める | 南禅院の池 |