大阪市の南、堺市と松原市との境に当たる地域になり、少し賑わいのある地下鉄我孫子駅のすぐ近くに、通称あびこ観音と呼ばれる大聖観音寺がある。歴史は古く、日本最古の観音霊場と言われるが、今ではひっそりと庶民的な寺院という趣がある。古代から百済と交易をしていた依網吾彦の一族のもとに百済の聖明王から観音像を贈られ、欽明天皇7年(546年)に像を祀る堂を建てた事に由来するので、一般的に言われる仏教公伝よりも少し古い。その後、推古天皇14年(607年)に聖徳太子によって大聖観音寺は建立されたとされる。
我孫子駅から歩いて、にぎやかな商店街を抜けて境内に入ると、楠の木の巨木に迎えられ、この我孫子からそう遠くない住吉大社を思い出すが、考えてもみれば大阪市内には楠の木の巨木は少なからず残されている。かつては境内に36の支院を抱える壮大な伽藍だったとされるが、境内に残るその数本の巨木が、かつての繁栄を伝えているように思う。
境内に残る楠の巨木 | 本堂と楠の木 | 境内を出た周辺 |