日本薫物線香工業会

堺市

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第1スライド

堺から古寺巡礼

あびこ観音-大聖観音寺-

零陵香本舗 薫明堂 古寺巡礼

 大阪市の南、堺市と松原市との境に当たる地域になり、少し賑わいのある地下鉄我孫子駅のすぐ近くに、通称あびこ観音と呼ばれる大聖観音寺がある。歴史は古く、日本最古の観音霊場と言われるが、今ではひっそりと庶民的な寺院という趣がある。古代から百済と交易をしていた依網吾彦の一族のもとに百済の聖明王から観音像を贈られ、欽明天皇7年(546年)に像を祀る堂を建てた事に由来するので、一般的に言われる仏教公伝よりも少し古い。その後、推古天皇14年(607年)に聖徳太子によって大聖観音寺は建立されたとされる。
 我孫子駅から歩いて、にぎやかな商店街を抜けて境内に入ると、楠の木の巨木に迎えられ、この我孫子からそう遠くない住吉大社を思い出すが、考えてもみれば大阪市内には楠の木の巨木は少なからず残されている。かつては境内に36の支院を抱える壮大な伽藍だったとされるが、境内に残るその数本の巨木が、かつての繁栄を伝えているように思う。



 今ではこじんまりとまとまった境内は、正面に明治時代に再建された本堂があり、現代まで続く庶民の祈りの場としての閑静な寺院である事には違いない。そして、百済から贈られたとされる本尊の聖観世音菩薩像は、身の丈一寸八分と6センチにも満たない非常に小さな仏像との事だが、毎年節分祭の際にのみ開帳され、祭には多くの参拝客が訪れるとされる。

 境内を出て少し歩き回ると、大阪市南部の住宅地らしく整然とした区画の露地が並ぶが、恐らく駅前の繁華街は近年は縮小してるようにも感じる。奈良県の稗田集落や帯解集落などと比べられるような、古代から続く集落だったとは思うが、あまりそうした集落の面影は感じられない。四天王寺をはじめ、大阪市内には歴史のある名刹、古刹が少なからず残されているが、あまり観光地然としている訳でもなく静かに佇んで庶民の暮らしに溶け込んでいるように見えるのは、大都市である大阪だからと考える方が良いように感じる。


境内に残る楠の巨木 本堂と楠の木 境内を出た周辺